【手を繋ぐ】
私は三人姉弟の次女。母は運転免許を持ってない。移動はもっぱら自転車か徒歩。
私達家族は手を繋ぐ事が普通だった。
小さい弟が転ばないように。
人混みの中ではぐれないように。
子供が生まれて我が子とも手を繋ぐようになった。転ばないようにはぐれないように。
今ではもう大きくなって転ぶ危険もあまりなくはぐれても自力で戻ってくることが出来る。
そういえば息子がまだとても小さい幼稚園児だった頃ショッピングモールではぐれた。
おやおやと思って探しているとほどなくしてアナウンスが流れた。
「〇〇君のお母様〇〇君がインフォメーションでお待ちです」と。
〇〇君は我が息子。そして待ってもらっているのは…私(笑)
意外と彼は幼い頃から自力で戻ろうとする子供だったのかもしれない。
そして今。
私は母の手を引いて買い物をする。
転ばないようにはぐれないように。
まだ70歳にも届かない年齢だけど頭の手術をしたりその他色々で足の動きが十分ではない。これまでも何回か転んで骨折をしていて二台のシルバーカーと杖を使いこなし生活している。
活発だった母。今ではゆっくりゆっくりとしたペースになった母に合わせて手を繋いで歩く。
《ゆっくり歩くと話しをする時間がぐんと増えるんだよ》
目的地へ早く辿り着いて次々と用事をこなしていくのも効率的。
それでもゆっくり歩いて、たまに会う母親とたくさん話すのもとてもいいなと思う。
転ばないようにはぐれないように手を繋ぐ。手を繋ぐと安心して心も近寄る。
どんな間柄でも大切な人とは手を繋ごう。どちらが支えるかなんてどうでもいい。横並びで離れずにそのままの距離で話しながら行こう。ゆっくりでもいいさ。【大丈夫】(*´ω`*)